八千代市に10年も住んでいるのに、そういえば1回も市内の図書館へ行ったことがなかった!!と、今更ながらに図書館めぐりを始めた私。一番最初に伺った勝田台図書館に引き続き、今回は緑が丘駅から徒歩5分ほどの場所にある「緑が丘図書館」へ行ってきました!
ここは八千代市内にある4か所の図書館のうち、最も新しく出来た施設で2004年にオープンしたばかり。今でこそインターネットの検索やパソコン利用の提供などがポピュラーになりつつありますが、当時はまだまだ全国の図書館でも珍しいITを取り入れた先進的な施設としてスタートしたそうです。
もちろん当時のままではなく、今はさらに充実したサービス提供を模索しているらしいので、そのあたりもお伺いしていきましょう!
※八千代市の図書館めぐり〜勝田台図書館レポートはこちら緑が丘図書館は「緑が丘プラザ」という建物の1階〜3階にありまして、4階と5階は公民館として機能しています。駐車場は1階に9台分、高架下にある敷地外駐車場に12台分用意されているのですが、公民館と共用で台数も限られているので、駅から歩いてきたほうが確実。
徒歩4分ほどですが、駅から続く2階レベルの歩道を進めばあっという間に到着!
・・・さーて、どこが入口なんだろう?
何しろ、ここにそういう施設があるというのは知っていたものの、こんなに近くまで来るのは初めて。やや挙動不審気味に外観を眺めていると、図書館の向かいに広がる“スポーツの杜公園”で遊んでいた子供たちが、外階段を駆け上がっていくのを見かけました。
あの階段が図書館の入口なのかと建物の前まで歩いて行きましたらば、発見!立派な1階正面口。
館内の案内図を見やると、一般向けの図書室が3階、そして2階は児童図書室があって、さきほどの外階段は2階とだけつながっているようです。なるほどー、こんな立派な建物だけれど、小学生くらいのお子さんでも外階段を使えば気兼ねなく立ち寄れそうですね。
正面口のある1階は、入って斜め前に管理室や自習室があるためか、かなりシーンとした雰囲気。さっさと右側にあるエレベータ(奥に階段もあります)を使って3階の一般図書室へ!
フロアの雰囲気は・・・と紹介していこうかと思ったのですが、緑が丘図書館ならではのポイントを念頭に置いたほうが伝えやすいので、まずは図書館の方から伺った見どころからご紹介していきましょう。
ポイント1/調べものなら緑が丘図書館へ!今まで市内各館がバラバラに図書を購入し、資料なども分散して持っていたそうなのですが、それぞれで中途半端に資料を持っていても調べものをする場合は不十分で、複数の図書館をまわったり、ほかの図書館からいちいち本をリクエストしなければならないという状況にありました。また、良い資料も生かされることなく各図書館に眠っている場合も多かったので、利便性を考慮し、市内に分散された資料をここ緑が丘図書館へ集約したのだそうです。
そのため、今まで勝田台図書館に書籍保存室を設置しておりましたが、新たに電動書庫を緑が丘に設置したことで4万冊もの収納スペースが生まれました。ここには、文献のような本ばかりではなく、歌謡曲の雑誌なども保管されています。
「特に古い歌謡曲の楽譜が載っていたりするものは保存しています。他にも、ハローページも全国のものを最新版で取り揃えて、随時差し替えています。ちなみに、今は個人情報保護法の関係で古いものは処分せずにNTTへ返却しているんですよ。」
この保存室には、新聞の縮刷版までずらっと並んでいます。ですが、市販されているものは東京版なので、地方記事は掲載されていません。それを補完するために、わざわざ図書館で新聞を切り抜いて、ずっと保管してきているんですって!しかも調べやすいようにオリジナルで索引も作成されています。
さらに、八千代市に関する記事だけを抽出した資料まで自作されていました。こちらは市内全館でコピーを所有しているので、緑が丘図書館以外でも閲覧することができるようです。ちなみに、この資料は一般図書室に置かれているので気軽に手にとれますし、見出しやキーワード別に索引も作ってあるので、大変調べやすい仕上がりになっていました。
こうして資料を市内図書館から集約したことで、色々なメリットも生まれました。
今までは各館それぞれで購入していた年鑑なども買いそろえる必要がなくなったため、その分の予算が他の書籍にかけられるようになったそうです。また、今まで等分されていた予算を工夫することで、今まで手が出せなかった高価な書籍や資料なども購入できるようになったんですって!
「この本は、10万円以上もする高価なものなんですよ。」と教えてくださった分厚い資料、それが普通に本棚へ並べてあって、誰もが手に取れる状態になっているんです!
そんなに高価な本があるなんて今まで思いもしなかった!!これから資料を手に取る時は、手袋をはめたくなります・・・。
「あらゆる資料関係を緑が丘に集約したわけではないんです。郷土資料については、市内で一番古い図書館である大和田図書館にすべてを集約しましたから、こちらに置いてある郷土資料は、さわりのポピュラーなものばかりで、冊数もごくわずかです。」
このように図書館ごとに役割分担をすることによって、今まで出来なかったサービスの充実化を図ることにつながったんですって。
ポイント2/レファレンス業務の充実他に担う役割として、ホームページの維持などの電算関係、そして充実したレファレンス機能があります。
他の図書館でも、図書について相談したりできるレファレンス機能はあるのですが、場合によっては緑が丘図書館から回答するケースもあるようです。それだけ専門的にレファレンス業務に職員の方が特化できるということは、人員的に他の図書館よりかなり多いのかしら?
「職員の人数は現在5名のみです。他の図書館との違いといえば、貸出管理などの窓口業務全般を丸善に委託しているので、この人数でもレファレンス業務やイベント関係の充実化に取り組むことができているんですよ。」
カウンターに設置されたパソコンには、レファレンスへの質問と回答内容が一覧で入力されていました。少し拝見させていただきましたが、大学生からレポートの内容について質問があったり、会社勤めの方から専門用語の質問があったりと、内容は本当に幅広くさまざま!
「レファレンスの役割というのは、直接答えをお伝えすることではありません。回答への道筋となるような、関連図書を紹介することです。けれども、的を得た回答をするには自分はその内容を把握しなければなりません。そのため、レファレンスはその都度、四苦八苦しながら色々と勉強する必要があるのです。」
最近はインターネットの普及で、用語についての質問は減ってきたそうですが、歴史に関する事柄などネットでは調べきれないこともまだまだ多く、やはり最後は書籍頼り!
とはいえ、どうやって調べればよいのか検討もつかない利用者も多いようで、レファレンス業務の内容はどんどん幅広く、さらに専門性の高い内容を求められてきているようです。中には、レポートの課題に与えられた「環境」について知りたいというような、漠然とした質問も少なくないそう。
「こうした質問には、まずその単語の意味を百科事典などで調べることで概要をつかんでもらい、その中から自分の興味が持てる事柄に絞って調べていくことをポイントに、図書館の活用方法をお伝えしています。レファレンスを利用されない学生さんの中にも、こうした書籍の調べ方を知っていれば参考になると思いますし、“環境”など取り上げられやすいテーマについては調べ方のポイントをまとめた紙を置いて、図書館をフル活用してもらえるよう工夫していければと考えています。」
ほかにも、本を執筆する際の裏付けとして本を探している方がレファレンスを利用する場合もあるんですって。こういったケースでは、市内の図書館ではなく、長崎図書館など地方図書館や大学図書館、さらには国会図書館にのみ保管されている資料なども多く、そのコピーを取り寄せてお渡しするといった対応までなさっているようです。
そんなポイントを踏まえて、実際に一般図書室をまわってみました。
まず気になったのは参考図書コーナー!
他の図書館と同じような一般図書はもちろん用意されていますが、3,000冊以上もの辞書や辞典、白書などが集められた専用の一角が用意されているんです。こうした資料が、緑が丘図書館内には書庫に保管されているものと合わせると、一般図書の1割以上(7,000冊以上)にものぼるそう。もしこのコーナーでお目当ての資料が見つからなくても、レファレンスに問い合わせてみるといいですね。
さらに、なかなか探しにくい新聞記事などの情報を、パソコンで効率よく収集できるツールまで用意されていました。これは、日経テレコン21や朝日新聞のDB「聞蔵」、官報情報サービスといった「有料データベース」のことで、個人で利用しようとすれば閲覧するのに1記事あたり50円、PDFで新聞記事をそのままの状態で閲覧すると100円ほど負担しなければなりません。これを図書館では月額料金で購入していて、閲覧者に無料で提供しているのです。
オープン当時は、図書館にこうしたインターネットを取り入れた図書館というのは少なかったようで、有料データベースの閲覧が出来るというのは県立図書館クラスなんだとか!
この情報は、希望する方にはコピー代はかかりますがプリントアウトもさせてもらえます。
他に目新しく思えたのが「就職・資格検定・起業コーナー」。
資格の取り方に関する本だけではなく、参考書までいろいろ取り揃えてあるというのは、今まで見かけたことがなかったような・・・。
「そうなんです、今までは資格の取り方だけは図書館で情報が得られても、図書館ではその勉強までは出来なかったわけです。こうした参考書などの学習書籍は、結構価格が高かったりしますし、思い立ってすぐ勉強を始められるということにもつながるのでは?
検定に向けて勉強するわけですから、なるべく新しい過去問題集を購入しなおすよう気を配っています。また、今以上に起業・ビジネスに関する本も導入していく予定です。」
印象的だったのは、“八千代市の図書館として、ただ本を借りる場所だけではなく、市の活性化サイクルに入りこめるようなあり方を模索している”という言葉でした。起業に関する書籍を活用してもらって、八千代市で実際に企業を興し、お店が繁栄することで八千代市へ還元されていけば、確かに“単なる図書館”という位置づけには終わりません。
まだ試行錯誤の段階だとおっしゃっていましたが、こうした意識で図書館を運営されているということに驚き、またそういった目で図書館を見てみると、確かにいろんな工夫が施されていることに気が付きます。
例えば、ノートパソコンの貸出サービスもそのひとつ。
退職された方が、再就職で履歴書を作成する際にパソコンが必要になることもあるそうで、そうした方が無料でワードやエクセルを利用できるよう準備してあり、プリントアウトも紙を持参すれば10枚程度までサービスしているんですって!
ちなみに、自分のパソコンを持ち込むことも出来ますし、インターネットに接続できる専用コンセント付きビジネスコーナーも設置してありました。こちらの利用は午前・午後の2部制になっています。
また、インターネットの利用ということであれば、メールのやり取りやページのコピーなどはできませんが、館内に常設されているネット利用端末も使用することが出来ます。使用する場合は、カウンターで利用券を発行してもらう必要があり、高校生以上の方で1日1回1時間以内という利用制限があるのでご注意を。
そうそう、こんなサービスまであるのにはびっくりしました!
新聞の閲覧コーナーに、折り込み広告まで置かれているんです。
「今までは折り込み広告を廃棄していたんですが、中には割引券がついていたり、新聞をとっていない方が目に触れない情報が入っていたりしますから、自由に持ち帰れるようにしたんです。また、求人情報だけはファイリングをして、見やすくまとめてありますよ。」
ほかにも、勝田台図書館にも設置されていた「ヤングアダルトコーナー」をこちらでも発見!
児童書は卒業したけれど、一般図書を利用する際のきっかけとしても入りやすいコーナーです。ここには10代をターゲットに、身近な話題を取り上げた書籍がずらり。その頃に抱える心の問題や生き方について、また進路に関する本や、スポーツ・社会や物事を知るための1冊などなど、名作から今話題の図書までが、幅広く取り揃えてありました。
同コーナーの一角には、「八千代緑が丘図書館ヤングアダルト通信」という実際に市内中学校の生徒さんがオススメの書籍やその感想、季節の話題などを自作イラストを織り込んで仕上げたプリントも置かれています。同じ年頃の人がどんな本を読んでいるのか?これを参考に新しい本を手にするのも面白いかもしれませんね。
緑が丘図書館には、スポーツの杜公園を見降ろした位置に「ブラウジングコーナー」というちょっとくつろいで雑誌などを閲覧できる場所もあります。新聞12誌、雑誌約160誌からお好きなものを選んで、肘付きのソファーやテーブルでゆったり過ごせます。
雑誌は発売日当日に、図書館のホームページからネット予約がぱぱぱーっと入るそうですので、気になるものはお早目にチェックを
!(→図書館の書籍詳細検索ページはこちら)
新しく入荷した一般書籍については、新着紹介の棚へまずは並べられうそうなので、こちらもチェックです。ちなみに、ここの本は大抵すべて借りられていくそうで、本棚へ戻すのは返却時なんだとか。
市内で唯一のコーナーといえば、DVDやCDを視聴できるAVコーナーも外せません。他の図書館からでも、リクエストをすれば借りることは出来ますが、棚から直接CDを選んだり、館内で見たり聞いたりできるのはここだけ!
ディスカバリーチャンネルや戦争関連の映像など、本では得られない情報を映像から知ることができるというのもミソ。国内外の映画やドキュメンタリーなど約400タイトルが登録されている常設DVD機器から、1日1本まで自由に選んで視聴できます。通常は電源が入っていないので、利用するにはカウンターへ声をかけると、整理券とヘッドホンを貸してもらえますよ。
この日も、兄弟で仲良くひとつのDVDを囲んでいる様子が見られましたが、ヘッドホンは複数差し込むことができるようです。管理用のパソコンで制御されていてリモート操作も対応しているので、もし操作がわからなくても、指定すれば画面を出してもらえるそうです。
貸出用のDVDには、なかなかレンタルDVD屋さんには並ばないようなドキュメンタリーものも、多くリストアップされていました。
AVコーナーには、DVDのほかにも音楽や演芸などのCDがあります。
DVDは盗難防止のために別に保管してあって、貸出リストから選んでカウンターへ申し出るのですが、CDは棚に並べてあるので直接手にとって選ぶことが出来ます。ちなみに、最近の人気はJ-POPでも洋楽でもなく、演芸の列に並べられている“落語”のCDなんですって!
DVDやCDは本と同じようにカウンターで借りられますし、返却期限も同じく2週間ですが、借りられるのは2点までで、貸出対象は中学生以上という制限があるのでご注意を。
雑誌などが置いてあるブラウジングコーナー以外のテーブルなら、一般図書室を利用して持ち込みで勉強することも大丈夫だそうですが、ガッツリと集中して勉強したい!というにオススメなのが、1階の自習室。
利用者層は中学生や高校生など受験を控えている学生さんが多いようで、平日は満席になるほど!中学受験を希望している小学生が利用することも多いそうで、大人顔負けな集中力で頑張っているんですって。自習室が使いたくて塾に通うという話をよく聞きますが、ついリラックスしてしまう自宅で勉強するよりも、こういった場所のほうが効率良く集中出来るのかもしれませんね。
「本当は個室感覚になるよう、パーテーションを立てることも考えていたのですが、閉館時などに別の目的で利用できるようにと、あえて長テーブルを置いた塾の教室タイプの自習室にしました。3人掛けのテーブルではありますが、ノートなどを広げて勉強しやすいように、整理券は一つのテーブルに2人というカウントで配布していまして、全部で28名が座れるようになっています。
もちろん勉強だけではなく、図書館の本を持ち込んでご覧いただくこともできますよ。」
自習室は無料で利用することができますが、勝手に入って好きなだけ使えるわけではありません。午前と午後でそれぞれ整理券を配布しているので、3階一般図書室のカウンターへ事前に取りにいくシステムになっています。
この整理券は席と連動しているので、好きな場所を選んで券を取ることが出来ます。また、午前の利用時間は9:00〜12:50まで、その後10分の間に掃除を行ったあとに入れ替えられ、13:00から平日は18:45まで、土日祝は16:45まで利用することができます。
基本的には午前午後を通して利用出来ませんが、午後の整理券配布が12時から開始されて13時の時点で空きがあれば、また整理券を受けとった上で午後も再び利用することは可能だそうです。
さてさて、そんな学びの雰囲気満載な3階一般図書室や自習室から一転して、2階の児童図書室はとっても和やか!
幼児〜子供向けの絵本や児童書、中学生向けの図書などが置かれているこちらのフロアでは、子供でも一番上の棚まで十分手が届くように本棚がかなり低く設置されています。また、各棚に並ぶ本の種類を紹介した見出しも、一般図書室に比べて分りやすく、より具体的な仕分けになっていました。
さらに、図書館全体で設置されていましたが、誰でも自由に出入りできる施設ということで、防犯カメラやベルがいたるところにありました。その様子も2階の事務室内にあるモニタで常時確認されていますので、子供だけで図書館を楽しめるよう安全にも配慮されたつくりになっています。
2階のエントランスには、飲食もOKの自由に使えるスペースもあるんです。見かけたときには、小学生の子供たちが集まって、春休みの宿題なのか、何やら一生懸命勉強していました。
一般図書室と一緒だと利用しづらいという子育てママにも、2階なら気軽に集まって楽しめそうですね!
楽しめるといえば、緑が丘図書館では定期的にイベントが行われているのですが、この日も子供向けのイベントが2つ開催されていました。
2階児童室の奥に専用スペースがあって、靴を脱いで入る部屋になっています。ここでまずはブックカバー講座が行われました。予約制のイベントでしたが、丁度春休み中ということもあってか満員の盛況ぶり!
前に立って教えてくれる先生1名と、子どもたちのそばで教えるサポート役の職員の方が2名の計3名の方に見守られながら、小学校低学年〜中学年くらいの子供たちがテーブルを囲んで真剣に作業を進めていました。
「練習用に用意しました白い紙で、まずはブックカバーの折り方を練習してみましょう。出来上がったら、好きなスタンプを押したり、パンチで型抜きした折り紙を貼ったりしてデザインしていきますよ。練習が終わったら、本番用の和紙で好きなように作ってみてくださいね。」
ひとつひとつの折り方を、ゆっくり丁寧に指導していく先生について、今日集まった女の子たちはおしゃべりもせず必死で折っていきます。そして1時間後、皆さんとっても上手に出来あがりました!
こうした楽しい工作を通じて、丁寧に本を扱う気持ちも芽生える素敵なイベントでした。
さらに、15:40からは毎月定期的に開催されているお話会も行われていました。こちらは予約制というわけではなく、その時間に合わせて子供たちが集まってきているようです。4歳〜を対象とした内容で、まずは5〜10分程度の素話で興味を引き込み、それから絵本を読んで、その絵本の紹介をするといった30分程度のイベントです。
もう少し小さい2〜3才児を対象としたお話し会も、こちら緑が丘と大和田の図書館で毎月不定期に開催されています。それにはお母さんも一緒に参加できて、手遊びやわらべ唄などを楽しみ、それから絵本を読んで、お母さんにその絵本の紹介などをするそうです。
こうした子供向けのイベント以外にも、月いち程度で大人向けのイベントも企画されています。例えばこの4月は折り紙講座が開かれて、6名ほどの募集で鯉のぼりの飾りをつくるといった内容だったそうです。
「折り紙の本も数多く図書館には置いてありますが、やはり実際の折り方を指導してもらいつつ作ってみないことには、どうしても分らない部分も多いですよね。このイベントに合わせて折り紙の書籍を紹介したり、図書とのリンクも踏まえた企画を、今後も少なくても月1回は行っていきたいと考えています。」
※市内図書館のイベント情報はこちら/
http://www.library.yachiyo.chiba.jp/modules/eguide/この折り紙講座の講師には、季節ものの飾り作りに携わっていた職員の方が担当し、限られた予算の中で興味を持ってもらえる企画作りに励んでいらっしゃいました。そのために、ボランティアの方々にも協力していただいたり、市内にお住まいの方にも色々な形で参加してもらっているようです。
「今は、講演会タイプの“図書教養講座”と、図書館の利用方法やホームページの閲覧方法、操作方法などを具体的にお伝えする“図書活用講座”という2パターンのイベントも企画しています。
平成17年11月に開催した図書教養講座では、病気に関する本を執筆された方に直接お越しいただいてお話をお伺いしました。限られた予算で実施できたのも、八千代市内にお住まいの作家さんで快くご協力いただけたということがありました。また、図書活用講座でパソコンに触れていただく機会をつくるために、同じ建物内にある公民館のスペースを借りるといったこともしています。」
今後は、どうしても図書館の利用が少ない世代の高校生〜大学生向けの講座も開いて、活用方法を伝えていく機会を作っていきたいとのことでした。中学〜高校生くらいになると、どうしても勉強時間に重点が置かれて、読書をする時間というのが十分に取れなくなってしまうというのが背景としてあるようです。それでも、本から得られる知識の重要性は、勉強に代え難いものがあると、図書館の方はおっしゃいます。
「幼児期〜小学生の時期は、頻繁に図書館を利用してくれますが、その時期に触れる図書というのは娯楽的要素が強い傾向にあります。そのあと、中学生になって利用率が減り、高校〜大学と進むに連れて、どんどんと利用率が下がっていくんです。大人の利用者で多いのは20代後半〜30代なのですが、その前がぽっかり空いてしまっているのが現状です。
受験には一見関係はないかもしれませんが、大人になってから読むのではなく、その年齢で触れた書籍によって、今後の進路の可能性を広げるチャンスもあると思うのです。例えば、星に関する書籍を通じて志望学部の選択肢が広がったり、感動する職業を見つけて進路を再検討したくなったり。娯楽としてではなく、人生の糧として本をもっと取り入れてもらえればと考えています。」
“娯楽”としての図書館から、自由自在に“知る”ことが出来る図書館へと利用のスタイルを移行できるかどうかは、知りたいことが自身で調べられるという“本を探す力”が左右するそうです。これを小学生や中学生のうちに身につけておけば、高校〜大学生になっても引き続き図書館を有効活用してもらえるはずです。そのためにも、高校生や大学生を対象とした図書活用講座イベントの実施や、地域の学校との協力体制を強めていきたいとお話なさっていました。
そうそう、ちゃんと2階の児童図書室にも専用のレファレンス窓口や検索端末が用意されていて、大人と同じように図書館を“活用”する環境が整っていました。
そんなお話を伺っている中で・・・ふと疑問。
ところで私は、きちんとお目当ての本を探せるんだろうか?
「よく子どもたちに本の探し方について紹介するときには、『奈良の大仏の頭のブツブツって、何個あると思う?』『下駄の数え方ってなんだろう?』など、その答えが分る本を探してきてもらったりするんです。なび子さんは、その場合どうやって調べますか?」
そうですねー、大仏に関する本を探したり、モノの数え方の本を見つけに行きたいと思いますが・・・。
「では、その本がこの図書館のどこにあるか分りますか?」
文化っぽい列を探してみようかと・・・あ、でも数え方はさすがにどこにあるのか、ぱっと頭に浮かばないですけれども、ごにょごにょ・・・。
「大抵、図書の見出しというのは内容を反映しているものです。なので、設置してある検索端末などを活用していただくのが一番手っ取り早いですよ。“検索キーワード”に、手にしたい内容を入力してみます。この場合でしたら、“奈良”と“大仏”とか、“数え方”などでしょうか。検索結果にはズラリといろいろな本が表示されると思いますが、そこからそれっぽい1冊を選んでみて、まずはその本がある分類をチェックして本棚へ向かってみることです。そして、その1冊にこだわることなく、その周辺にある本を手に取ってみることがポイントです。大抵関連図書がたくさん置いてありますし、自分が思いもしなかったような見出しの本に掲載されていることもあるでしょう。
そして、さらに大切なのは、本を手に取ったら目次や索引を見てみること、それでも掲載されているか分らなければパラパラと中を見てみることです。最近の傾向として、子どもたちは目的の本を手にすると、知りたい事柄が全部その1冊の本に掲載されていると思って別の本を探そうとしないことが多く、本を見つけると中を見ようとしないのです。
まず開いてみることを子供に伝えたいですね。1冊の本にすべてが載っているわけではなく、色々な本に関連の文章が載っています。それぞれをピックアップして自分の中で総合的に理解し、まとめていく力を養っていくことで、得たい知識を自在に手にできるようになっていくのです。」
最後に、図書館の方からこんなコメントもいただきました。
「図書館では、どんどんレファレンスを活用して欲しいと思っています。レファレンスへ届いた質問によって、職員は一生懸命その回答を模索するわけで、その知識を糧に、さらに良いアドバイスが出来るように成長していきます。その街の図書館に良い司書がいるのは、良い利用者がいるからと言われるように、図書館を育ててくれるのは実は市民の方々なのです。
お腹痛くなったり、ちょっと風邪気味かな?というときに、私たちがとりあえず病院へ行ってみるのと同じように、困ったことがあったらまず図書館へ行ってみよう!というくらい日常的に図書館を活用してもらえるようになりたいんです。」
にこやかながらも、そんな熱い願いを語っていらした職員の方からは、単に図書館を維持するだけという脱力したオーラは微塵も感じられません。心から八千代市の図書館を良くしたいと考えていらっしゃるんだなぁと、感動するばかりでした。
なかなか子供が小さいとゆっくり図書館を利用する機会も持てないんですが、まずは児童図書室からデビューしていって、子供が「お母さん、これどういう意味?」とか質問するようになったら、一緒に調べに図書館へ足を運べたら・・・と思いつつ、緑が丘図書館をあとにしました。
同じ市内の図書館を2か所まわってきましたが、これだけ色々な違いがあって、さらなるお話が聞けるなんて思いもしませんでした。八千代市には、あと大和田図書館と八千代台図書館という2つの施設がありますが、馴染みの図書館とは違った楽しみを求めて、図書館めぐりを楽しんでみてはいかがですか?
●緑が丘図書館 047-489-4946
千葉県八千代市緑が丘3-1-7緑が丘プラザ1階〜3階(
地図)
アクセス/八千代緑が丘駅から徒歩5分
駐車場/有り・敷地内9台&敷地外12台(緑が丘公民館と兼用)
※出来るだけ公共交通機関をご利用ください。開館時間/
一般室(3階)火〜金 9:00〜19:00、土日祝 9:00〜17:00
児童室(2階)火〜日・祝 9:00〜17:00
※ただし、7〜9月のみ児童室は平日18時まで開館休館日/月曜日・館内整理日(1月〜11月の各末日、平成19年は12月21日〔年末の整理日は毎年変わります〕。ただし土日祝月に当たるときはその前の金曜日)・年末年始12月28日〜1月4日・その他特別整理期間
八千代市立図書館ホームページ/
http://www.library.yachiyo.chiba.jp/〔関連レポート〕
2007年12月16日 八千代市の図書館めぐり〜勝田台図書館