第二八千代幼稚園では、「自然のままの子供の様子をお母さんに見ていただいた上で判断いただきたい」という理由から、入園説明会をあえて設けていません。朝9時半〜10時頃に直接来て、園児の様子をぜひ見学してくださいとのこと、私も早速なび息子を連れて米本団地へと車を走らせました。
米本団地は16号側と、中央に走る公園(というか遊歩道?)をはさんだ向こう側に外周道路があるんですが、幼稚園へたどりつくには“向こう側”へ回り込まないといけません。道の駅に近い米本交差点から入ってしまうと迷子になるので(なりました)、その手前の米本団地南交差点から入り、3-4棟を左折し道なりに坂を登っていき、突き当りを左へ進んでいくと右手に園舎が見えてきます。
車が入れるのは園舎左の駐車スペースまでで、幼稚園の正門前は遊歩道になっているので飛び出しの心配はなさそうです。通りには買い物や散歩に出掛けている団地の方々が行き交い、遊歩道からフェンス越しに園庭を眺めている人も見かけました。
『園庭で遊ぶ子どもたちを、自分の子供たちを通わせていたおじいちゃんやおばあちゃん、近所のお母さんなどが散歩ついでに眺めていたりと、皆さんに見守られながら子どもたちは遊んでいるんですよ。』
以前は普通の幼稚園並みの受け入れを行っていたそうですが、最近は少人数制に変え、一クラス20〜25名、年少〜年長まで各2クラスずつ、全体で130名規模に抑えているとのこと。しかも、どのクラスも先生が必ず2名付くんですって!
確かに、園庭に出ている子どもたちを十二分に見れるくらい、先生があちこちにいらっしゃって、言われてみれば多いような感じがします。外からも温かい目で見守られ、園内でもたくさんの先生に囲まれて、何だか安心して預けていられそう!
白い門を入ってすぐ右手に職員室があるので、こちらで受付を済ませてから見学です。施設は38年経っているそうですが、常に園長先生が補修をしたり、ペンキを塗ったりとメンテナンスされているらしく、きれいに維持されています。
『建て替えという方法もあるかもしれませんが、安全に過ごせるよう建物がしっかりメンテナンスされていれば、あまり十分すぎる施設に改築したりする必要もないというのが園長の方針なんです。施設を充実させたところで、子どもたちの心が満たされるわけではありませんし、それよりもっと、心を育てる方法がたくさんあります。それに改築して、出来るだけ抑えている保育費用の負担がかさんでしまっては、元も子もありませんからね。』
職員室の横には、幼稚園ではあまり見かけない大きなプールがあります。そのプールをコの字型で囲むように廊下を進むと、2階建ての園舎にたどり着きました。なび息子は、金魚や川魚が泳ぐ水槽、廊下沿いにいくつも並ぶたらいに入ったカメ、カブトムシの虫かごなどに興味深々!
『まだまだ、うさぎやセキセイインコなどもいるんですが、これらはぜーんぶ頂き物なんです。あの川魚も、新川で釣りをしてきた方が下さったりして。』
生き物に囲まれているだけではなく、こちらの子どもたちは農作物に触れる機会も沢山!すぐ近くに農園を借りているそうで、年長さんともなると、農園の方にご指導を頂きつつ、種まきから収穫まで一連の農作業を体験するんですって。年少さんは“良いとこ取り”をさせてもらって、イモ掘りなどの収穫部分を楽しませてもらい、年中さんはプランターなどで野菜を育てたり。
『今日も年長さんは、午前中は畑へ出かけていますよ!収穫した野菜は、持ち帰ってご自宅で召し上がっていただいたり、今度の参観日では包丁使って味噌汁作りをする予定もあります。ただでさえうまく作るのが難しい枝豆なんて、ちいさーい豆がちょこんと鞘に納まっていることだって少なくありません。それでも、一株収穫したものをご自宅へ持ち帰って、お母さんに喜んでもらえるのが子どもたちにとっては大変嬉しいことなんです。』
園では普段どんな感じで過ごすのかを伺ってみました。
●登園〜朝礼
登園すると子どもたちはスモックをかぶって、天気の良い日はみんな園庭で遊んでいます。でも、そのまま午前中を過ごすのではなく、9:50になると、年長さんが行う“皆さんお片付けをしましょう!”という放送を合図に、一度キレイに「お片付け」をするんです。それから、全園児揃っての朝礼が行われます。
そこでは、園歌を歌ったり、月毎に変わる楽しい体操をしたり、去年のおゆうぎ会で発表した踊りをしたり・・・。
『せっかくの園歌ですから、運動会や特別なときだけ歌うのではなく、こうして普段から歌う機会があれば、口ずさむだけで自然と園の思い出にも繋がりますしね。それに、せっかく覚えたおゆうぎ会の踊りや体操も、その時だけじゃなくまた踊れる機会があるというのも楽しいものです。“普段やっていること”として取り入れていると、自然と運動会や発表会の本番にもつながっていくんですよ。特別なこととして身構えることがないですし、上手に踊れていると「お父さんやお母さんにも見せたい!」という気持ちや自信も湧き出てきます。』
普段の力をそのまま発揮させてあげたい!ということから、運動会は園庭で、発表会も1階でいつも練習しているホールで行うそうです。
『子どもたちが、どうしたら本来の力を無理なく発揮できるか?常に子どもの目線で、子ども中心に考えるようにしています。』
●遊び
朝礼のあとは、11時まで自由に遊べる時間です。
38年経つというこの園庭には、大きな木が生い茂っていて、園庭にはいくつもの木陰がうまれて過ごしやすい環境のよう。その脇には大型遊具がならび、小高くなっている丘の上にはなかなか幼稚園では見かけないようなロング滑り台も!
『あの丘の手前に見えるのは枇杷の木で、毎年6〜7月頃に実をつけるんですけれどね。実はあれ、園長先生が20年前に植えた種があんなに大きく育ったんですよ!ある日あんまりにも見事な枇杷を食べた園長先生が、その種を遊び心であそこに植えたら、まあ素晴らしく大きくなって。
木の幹が複雑に生えて、とても登りやすそうでしょう?あれは年長さんだけが“登るのを許されている木”なんです。年中さんでも登れるんですが、なかなか降りてこられないんですよね。案外、降りる方が難しいんです。だから、ここの園児は年長さんになると、すぐにあの枇杷の木へ向かっていくんですよ!憧れの木なんですね。』
雨の日は、それぞれの教室で遊ぶそうです。
一番の流行り遊びは「廃品工作」だそうで、お家から牛乳パックやペットボトルなど、要らなくなったものを園で預かり、それを使って自由に工作するのに夢中だとか。
『牛乳パックのお面をコレクションしている子もたくさんいるんですよ。年長さんくらいになると、自分でお面の絵を描いて、目をくりぬいたりする難しい部分だけ先生に手助けをお願いに来たり。廃品工作は、家へ持って帰ると“捨てるのに困る”というお母さん方のお悩みも付きものですが、子どもたちはお家の方に見せることで安心し、満足するよう。少しの間だけでも飾ってくださいねー!とお願いしていますよ。』
年長さんにもなると、自分の教室だけではなく廊下や、年少・年中さんクラスにまで進んで遊びに出かけて、色々と遊びを教えたりしているようです。
●ワーク
11時からは、お昼ごはんまでの1時間を集中して各教室で折り紙や工作、簡単なワークなどを行います。
『のびのび自由に遊ばせるのが方針とはいえ、小学校に入ってから差が出てしまってはいけないので簡単な勉強なども取り入れています。年少さんはクレヨンで線描きなどを楽しいワークを通じで覚えますよ。例えば、真っ白なお皿にぐるぐるとスパゲティを描いてみましょう!とか、空に雨を降らせてみましょう!とか、迷路をなぞってみたり。年中さんや年長さんになると、鉛筆の持ち方や書き方を覚えたり、かずやひらがなにふれていったりします。』
午前中にたっぷりと自由に遊んで満足しているせいか、子どもたちは集中してワークなどに取り組んでくれるようです。お話を伺った先生の中には、今現在もご自分のお子さんを通わせている方がいらっしゃり、こんなお話もなさっていました。
『母としての目線で遊んでいる子どもたちを見ているとき、ちょっと危なっかしいかな?と思うようなシーンもあるんです。それでも、出来るだけ子どものやりたいように、まずは手出しをなるべくせずに見守っています。案外、そうした子どもたちって自分で加減が学べるようで、うまい具合に怪我をしないんですよ。』
そういう“見守れる余裕”も、先生が2人体制で、且つ少人数制という目の行き届いた環境下でこそ出来ることなのかも。
●帰る前
帰る前には「お話の時間」があり、先生が絵本を読んだりお話をしてくれます。そのほか、園内にある図書室で、週1回絵本を借りられることになっていて、子どもたちの楽しみのひとつになっているとか。
『ここは、お母さん方が貸出管理をしてくれている部屋です。お母さんのサークル活動の場として今日は使っているためお見せできませんが、そのサークルで年1回行われるお話の日はとても子供たちに人気なんですよ。図書室の利用ですが、先生が絵本を読みに連れてくるほかは、普段自由に出入りさせていません。先生の目が届きにくいこともありますしね。』
各教室や預かり保育専用のお部屋にも絵本はたくさんありましたが、週1回に限って、この図書室で好きな本を選んで借りられるという特別感が、より一層子どもたちの本への興味を引き立たせているんでしょうね!
そうしたお話を伺いながら、園で過ごす子どもたちの様子などを拝見していたのですが、何度となく廊下ですれ違う子どもたちが「こんにちはー!」と自分から声をかけてくれるんです。さらにそこで、どこからともなく見ていた先生が「えらいね!ちゃんと挨拶できたねー!」と一言。ちょっと照れながらも、ぱぱぱーっと部屋へ入っていくその子どもの顔が、何とも印象的です。
それに、すれ違ったときに耳にする子どもたちの会話も気持ちの良いものでした。子どもらしさの中にも、言葉づかいの語尾に丁寧さがあります。一方で、何か指示をするようなときも、声をかけるときも、トゲも波もない優しくきれいな話し方で接している先生を見てると、こうした子どもたちの言葉づかいは、自然と影響されたものなのかもしれません。
年長さんが朝の放送をしたり、自分から挨拶をしてくれたり、さっきは農園から帰ってきた年長さんの男の子が、収穫してきたピーマンを私にくれたり・・・と、何だかあちこちに自主性が感じられるんです。思いのほか、色々と教えたり躾をしたりと教育タイプなのかしら?
『そんな、頭ごなしに叱ったり、こうしなさい!と指示することってないんですよ。例えば絵本が始まるときも、こっちを向いて集中しなさいと言うより、手遊びを始めることで自然と集中に向かわせます。“先生が、何か面白いことをしてくれる!”を興味を惹かせるというのも技術のひとつです。
教え込んでも、結局声をかけたそのときは出来ても、また同じ繰り返し。毎日の生活で自然と身についたものは、揺るがないものですよ。』
ここの園児たちは、毎日の生活の中で自然と「待つこと・本読み・聞くこと」に慣れてしまうそうなんです。
確かに、運動会の練習をしていた年中さんも、私が話を聞きながら過ごした1時間ほどを、特に輪を乱すこともなく、かといって先生が注意したりする場面も見ることはありませんでした。
横一列にピシー!っと整列しているとか、そういう統制感というのではなく、それなりに子どもらしくはしているんですが・・・何でしょう?みんな穏やかなんですよね。
先生も辞める方が本当に少ないそうで、若いお姉さんのような先生から、そのお母さん世代、おばあちゃん世代・・・と、バランスのとれた職員体制というのも魅力ですし、きっと先生方にとっても過ごしやすい環境なんだろうということも察することができました。
「のびのび自発性豊かに育てたい」というお話を、見学前に電話でお伺いしていましたが、まさにそのとおりに子どもたちが過ごしているように見えました。園の方針っていうのは、単なる“看板”じゃなくて、きちんと反映されているものなんだわ!
“自分の子の性格を見極めて、その子に合った園を選ぶ”とよく聞きますが、この判断って、結局今自分が育てている家庭環境と、園の方針が同じベクトルを向いている幼稚園かどうかってことなのかも。あんまり家庭環境と違う雰囲気だと、それがその子にとってストレスになりそうだもの。
そういう意味でも、実際に目で見て、肌で雰囲気を感じられる見学って、本当に大切なことだと実感です!
【第二八千代幼稚園 詳細情報】
※平成20年9月時点
※あくまで参考情報ですので、詳細は園へご確認ください。
●幼稚園行事のお手伝いについて
一般的な幼稚園と同じように、役員さんを2名ほど決めます。その他、運動会や発表会などの行事毎に担当さんを決めて、当日のお手伝いをしていただくという程度です。
大掃除も子どもたちが行うのでお母さん方に来ていただいていないんです。年長さんになると、ちゃんと自分で雑巾絞りもしますし、日常のお掃除も子どもたちがテーブルを拭いたりするんですよ。
なので、参観日や運動会、発表会など、お家の方に来ていただく機会を含めても、来園をお願いするのは月1回あるかないかといった感じでしょうか。
●園での格好は?
兼制服ともなっている、園名入りの体操服の上にスモックを着て過ごします。この体操服のほか、登園時には帽子とリュックもお揃いの用品です。カラフルで可愛らしいリュックは、そのまま遠足のときにも使いますよ。
●入園時にオムツはずれなど何か条件はあるんですか?
いえいえ、オムツがはずれていなくても、ボタン付けや着替えなどが出来なくても全く問題ありません。オムツ、取りますよ〜!
●延長保育について
14:30〜17:30まで、フリータイムで600円(おやつ付き)。午前保育の日でも、11:30〜17:30まで同じく600円です。長期休暇時は、朝から夕方までの1日保育になるため1,000円になります。(※長期休暇時も、年末年始や職員研修のときなどお預かりできないこともあります。)
延長保育は、前もって申請していただきます。ただし、急な用事の場合は、空きがあれば当日受付も可能です。
上限が8,000円となっているので、その月に頻繁に預けても8,000円以上はかかりません。
延長保育用に追加でバスを出すことはないので、お迎えは各自園まで行きます。
●園バスについて
2,000円/月
ルートが限られているので、近くに園バスが来ない方はそのポイントまで自転車等で送迎するか、直接園まで車で送迎しているお母さんも多いようです。
ちなみに、米本団地の中に住む子どもばかりなのかと思っていましたが、団地に住む方々は年配の方が多くなってきており、むしろゆりのき台からバスで登園する子が多いそう。
●駐車場について
園に隣接された駐車スペースが数台あります。米本団地の中央付近に幼稚園があるので、外周道路から細い道を登っていったり、駐車場の出入りがぶつけそうで怖いという方は、少し園まで歩くことになりますが、外周道路付近にも専用駐車場があるようです。
※未入園の方で運動会を見学される方は、駐車可能な台数がかなり限られているため、徒歩若しくは公共交通機関でご来園ください。
※平常時の見学時であれば、駐車場の利用は可能です。16号の米本団地南交差点から入り、突き当りを左折。3-4棟の奥側の道を入って道なりにのぼり、突き当りを左へ道なりに進んでいくと右手に隣接駐車場が見えてきます。
●給食について
月曜日は全員給食の日で、それ以外の火〜金曜日はお弁当か給食かを、ご家庭の都合によって決めていただくことができます。毎日給食でも、毎日お弁当でも、週1回だけのお弁当でも構いません。
なお、内容の見直しは各学期毎に行うので、その学期内は曜日を変更することが出来ません。
1食/275円
※朝食やおやつで牛乳は飲む機会が十分あると思いますし、牛乳でお腹が一杯になってご飯が食べられない子供も多いので、“食べる”ことに重きを置くという方針のため、毎日の牛乳は用意していません。食事の時にはお茶を出しています。
●課外教室について
月・水・金/ヤマハピアノ教室
※金曜日だけはヤマハの先生の方針で、リトミック&ピアノレッスンが行われるそうです。
火/体操教室
木/サッカー教室
※課外教室は幼稚園に各専門の方が来て、別途料金で行うレッスンです。見学していても良いし、終わり頃に向かえに来ても良く、サッカーなど着替えが必要な場合も幼稚園の先生が園庭へ送り出してくれます。
●入園までに必要な経費
※あくまで現時点での参考金額です。詳細は園へお問い合わせください。
入園料/70,000円
毎月の保育料/20,000円
冷暖房費/2,000円(年間)
バス代(利用者のみ)/2,000円(月額)
給食費/275円(1回)
※ご兄弟がいる場合は割引特典があります。
※4人目以降は、同時入園でなくても割引が受けられます。
●第二八千代幼稚園 047-488-2946
千葉県八千代市米本2205(地図)
【ホームページ】http://daini-yachiyo.com/
※八千代ナビ!幼稚園一覧での紹介欄はこちら
第二八千代幼稚園で伺ったお話は、のぶくんママさんがおっしゃっているままでした!高校生になってからもそのように振り返られる幼稚園って、すごいですよね。
私もかなり気になっている幼稚園のひとつです・・・。
僕は今現在27歳で、平成元年に第二八千代幼稚園を卒園した者です。
思い付きで第二八千代幼稚園の事を検索かけてみたら、こちらに辿り着きました。
当時の事は断片的ではありますが、今でも覚えています。
楽しかった思い出ばかりです。
読んでいて懐かしい気持ちになりましたのでコメントさせて頂きました。
では、失礼致します。
第2八千代幼稚園ではお友だちとの関係を築き、遊びを発展させ、自然を感じ、身体をたくさん動かし、のびのびと成長させてもらいました。親子共々幼稚園が大好きでした。
先程、アニメを見ていた次男が、なめくじに塩をかけたら溶けるの知ってるよ〜と一言。
私は教えた記憶は無く、どうして知っていたのかを尋ねたら、幼稚園で、実際になめくじに塩をかけたそうです。
最近では、なめくじに遭遇することもあまりなく、なかなか出来る体験ではないと思います。
こうした自然を実体験させてくれる、感性を育ててくれる素敵な幼稚園です。
預かり保育も充実していて、働いていた私にとっては、とても安心できる場所でした。
5年の時を超えて、改めて感謝しています。